― 「禁止」も「野放し」も、どちらもリスクを増やす。運用できる線の引き方を示す。
§ 01 / 禁止すると、見えないところで使われる
生成 AI の社内ルールを作らないまま「一律禁止」にした会社では、ほぼ例外なく個人アカウントでの利用が水面下で始まります。会社が把握できないぶん、こちらのほうが危険です。
ルールの目的は使わせないことではありません。どこまでなら安全に使えるかを全員が判断できる状態にすることです。
§ 02 / 最初に引くのは「入力してよい情報」の線
議論が発散しがちですが、実務上いちばん効くのはこの 1 本の線です。3 段階で十分機能します。
| 区分 | 例 | 生成AIへの入力 |
|---|---|---|
| 公開情報 | 自社サイトの掲載内容、公開済み資料、一般的な業界知識 | 自由に可 |
| 社内情報 | 議事録、社内マニュアル、企画の下書き | 法人契約の環境でのみ可 |
| 機微情報 | 顧客の氏名・連絡先、単価・原価、未公開の契約内容、人事評価 | 入力しない(マスキング後は可) |
「顧客名を伏せれば社内情報として扱える」というマスキングの運用まで書いておくと、現場が止まりません。線を引くだけでなく、線の越え方を示すのがコツです。
§ 03 / アカウントは会社が持つ
個人アカウントの業務利用を止めるには、会社が使える環境を用意するしかありません。
- 法人プランで契約し、入力データが学習に使われない設定を確認する
- 退職時に止められるよう、会社のメールアドレスで発行する
- 誰がどのツールを使っているかの一覧を持つ(棚卸しは半年に 1 回で十分)
コストを理由に個人アカウント任せにするのは、最も高くつく節約です。
§ 04 / 出力側のルールも要る
入力ばかり注目されますが、事故は出力側からも起きます。
- そのまま外に出さない … 顧客向けメール・提案書・公開記事は、必ず人が最終確認する
- 事実は裏取りする … 数値・法令・固有名詞は一次情報で確認。AI の出力は下書きであって根拠ではない
- 著作物の扱い … 生成した画像・文章をロゴや商標として使う場合は、別途確認が必要
「AI が書いた」は免責になりません。出したものの責任は会社に残ります。
§ 05 / 1 枚に収める
ルールは長いほど読まれません。A4 1 枚に収めて、次の 5 項目だけ書けば運用が始まります。
- 使ってよいツール(会社が契約しているもの)
- 入力してよい情報の 3 区分(§ 02 の表)
- 出力を外部に出すときの確認手順
- 困ったときの相談先(誰に聞くか)
- 違反した場合の扱い
規程を作り込むより、全員が読み切れる 1 枚を配って、運用しながら追記する。この順序のほうが確実に定着します。
§ 06 / A.I.M の考え方
A.I.M の AI 研修は、ツールの使い方だけでなく 社内ルールの設計まで含めて伴走します。経営層と業務を棚卸ししたうえで、どの業務にどこまで使うかを決め、御社の実務に合わせた 1 枚のガイドラインとプロンプト集を残します。禁止して止めるのではなく、安全に使い倒せる状態を作るところまでが研修の範囲だと考えています。
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