― 文字起こしができても、議事録にはならない。その間を埋める工程の話。
§ 01 / 「全文が残る」は、ほとんど価値がない
AI 文字起こしを導入した会社でよく起きるのが、1 時間の会議の全文が 2 万字で残り、誰も読まないという状態です。紙で残していた頃より情報量は増えたのに、使われる量は減っています。
議事録の価値は記録の網羅性ではなく、あとで参照される密度にあります。必要なのは要約ではなく、決定事項と担当の抽出です。
§ 02 / 出力の型を先に決める
生成 AI に整形させるとき、型を指定しないと毎回バラバラの体裁で出てきます。次の 4 ブロックに固定するのが実務的です。
- 決定事項 … 決まったこと。決まっていないことは書かない
- ToDo … 誰が / 何を / いつまでに(3 点セットで揃わないものは「担当未定」と明示)
- 持ち帰り・保留 … 結論が出なかった論点と、次に判断するタイミング
- 議論の要旨 … 上記に入らない背景。5 行以内
この型で出させると、読む側は 1 と 2 だけ見れば足りる状態になります。
§ 03 / そのまま使えるプロンプトの骨格
以下は会議の文字起こしです。次の4ブロックで議事録に整形してください。
# 決定事項
- 決まったことのみ。推測で補わない。
# ToDo
- 「担当 / 内容 / 期限」の3点セット。揃わない項目は「担当未定」と明記。
# 持ち帰り・保留
- 結論が出なかった論点と、次に判断する時期。
# 議論の要旨
- 上記に入らない背景を5行以内。
【制約】
- 文字起こしにない情報を足さない。
- 発言者名が不明な箇所は「発言者不明」と書く。
- 数値・固有名詞は原文のまま引用する。
【文字起こし】
(ここに貼り付け)
肝は 「文字起こしにない情報を足さない」 の 1 行です。これを入れないと、AI が自然な流れを作るために存在しない合意を書きます。
§ 04 / 精度は、会議の前に決まる
文字起こしの品質は、AI の性能より録音環境で決まります。
- 1 人 1 マイク(オンラインなら各自のデバイスから参加)が最も効く
- 冒頭で 参加者が名乗る と、話者分離の精度が上がる
- 会議の頭に 今日決めることを 1 行宣言しておくと、AI が決定事項を拾いやすい
「AI の精度が悪い」と言われるケースの多くは、会議室に 1 台のマイクを置いて 8 人が話しているという入力側の問題です。
§ 05 / 共有先まで設計して、はじめて定着する
整形した議事録をどこに置くかを決めないと、結局チャットに流れて消えます。
- 決定事項 … 検索できる場所(社内 Wiki・共有ドライブ)に会議名と日付で
- ToDo … タスク管理ツールへ転記。ここを自動化できると効果が跳ねる
- 全文 … 参照用に残すが、普段は開かない場所へ
議事録は「作る作業」ではなく「次の行動を発生させる仕組み」です。ToDo が誰かのタスクリストに入って初めて、導入の効果が出ます。
§ 06 / A.I.M の考え方
A.I.M の AI 研修では、こうした「実際の業務そのもの」を教材にします。御社の会議の文字起こしを持ち込んでいただき、御社の議事録フォーマットに合うプロンプトをその場で作り、翌日から使える状態にして持ち帰っていただきます。汎用的な使い方の説明ではなく、御社専用のプロンプト集と、動く仕組みが手元に残る設計です。
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